CoC現代シナリオ「ScapeGoat」
＜はじめに＞
このシナリオは現代を舞台にしたCoCシナリオであるが、改造すればインセインやマギカロギアなどでも使用できる。その際、書き換えに制限は設けないが、商業利用は禁止とする。
CoCでプレイする場合、希望があれば現代サプリを使用しても良い。
＜背景＞
江戸時代から明治初期にかけて存在したA村では、貧困のため不定期に口減らしとして村人の一部を殺害することがあった。
犠牲として選ばれるものは、身体が不自由であったり、他と異なる思想を持っていたり、村の大勢と相容れない言動をとる者など、いわゆる「はみ出し者」たちだった。
口減らしは神社にて、小刀を用いるのが決まりだった。
いつしかこの口減らしは儀式化し、小刀は神聖視され始めた。
数多の犠牲者の無念と怨念を吸い続け、畏れるべき神と信じ続けられた小刀はいつからか、邪悪な意志を持った妖刀と化した。
そして妖刀はさらなる犠牲の血を求め、村人たちの無意識下に干渉し、大衆の意志を操るようになった。
明治を迎え、村の貧困が以前よりは改善されても、妖刀に魅せられた村人たちは、それが望むままに血を捧げ続けた。以前と同様、村の中の異端者を次々に殺害していったのだ。
このようにして殺戮の目的は口減らしから異端者狩りにすり変わり、村人たちは同調圧力と互いの監視、そして疑心暗鬼の渦に陥った。少しの言動、わずかな周囲との差が発覚すれば、殺されるのは決まっていた。
そうして村人たちは殺し合い、ついには一人の生き残りもなく滅んでしまった。
現在A村がどこに存在していたのかはインターネット上の都市伝説となり、人から人に噂されるだけのものになった。村には妖刀を祀る朽ちかけた神社が立っているのみであるという。
時代は現代に移ろい、高度に発展をみせたが、それでも妖刀は血と崇拝に飢えていた。
そして災いの神と化した妖刀は人知れず神社から消え、いつの間にか都市部に姿を現した。
ゴミ捨て場に転がっていたそれを、とあるゲームの影響を受けていた女子高生、田代美弥が自宅に持ち帰った。そして彼女は妖刀の影響を受け始めた。彼女は妖刀を守り刀として携帯するようになった。
妖刀は数ヶ月をかけて彼女の通う私立加山清美記念高校の学生たちの無意識下を侵食していった。そのころから同校ではいじめ問題が噂されるようになった。
そして第一の事件、美弥の幼馴染である岡崎由乃殺害事件が発生した。
犯人は妖刀に憑かれていた美弥であり、死因は正面から刺された事による失血性ショック死だった。由乃は親友数人に「自分がレズビアンである事」を打ち明けていた。それが噂として広まり、由乃はクラス内で浮いた存在となっていた。
警察による捜査の甲斐なく、また、いじめの事実を隠蔽しようとした学校側の根回しもあり、犯人の特定には至っていない。
由乃の死後、彼女の秘密を広めたのは美弥であるという噂が急に広まった。幼馴染を裏切ったとして、今度は美弥がいじめを受けるようになっていった。
第二の事件は由乃の事件から三ヶ月後、ある早朝。部活の朝練で校庭にやってきた生徒によって美弥の死体が発見された。遺体には争ったような形跡があり、死因は複数回鋭利な刃物で刺された事によるものだった。
この事件は由乃に想いを寄せていた同学年の清水康太によって行われた犯行である。
前記の美弥の噂を質しに彼女を呼び出した康太は言い争いからもみ合いに発展し、彼女が武器として取り出した妖刀によって逆に彼女を刺し殺したのだ。
妖刀は康太が持ち去ったために発見されず、殺害された二人とも鋭利な刃物による刺殺だったため、警察は高校生を狙った同一犯の犯行であるとみて捜査している。
以上が事件に関する事実である。
探索者たちはこれらの事実に加えて妖刀の存在と過去を明らかにする事になる。
＜導入＞
探索者たちはそれぞれ友人同士で誰かの家でくつろいでいるのが望ましい。
探索者たちは近頃ワイドショーを賑わせている連続女子高生刺殺事件に関心を寄せている。
なんでも同じ高校の女子生徒二人が連続して刺殺されたとの事だ。しかも二人は幼馴染である事から、二人の共通の知り合いの犯行と思われる。
また、同校では被害者に対するいじめがあったらしい事から自殺の説も有力で、由乃に関してはレズビアンであるとの噂もあるらしい。
それら死亡した二人の情報をなんの配慮もなく騒ぎ立てるマスコミに、探索者は嫌悪感を感じるかもしれない。
アナウンサーやコメンテーターは好奇心をむき出しにして
「多感な思春期の二人と周囲になにがあったのか、いじめ、セクシャルマイノリティ！？高校生が抱える心の闇！」などとしきりに語っている。（KPはここでは可能な限り不快感を与える事に尽力されたい）
「続いては神社仏閣を巡る癒しの旅と、若者の間で流行中の日本刀について〜」というテレビからの声をかき消すように玄関のインターホンが鳴る。
応じて扉を開くとそこには憔悴しきった様子の男女の姿がある。
要件を尋ねると
「娘が殺害された。いじめの噂もある。なのに学校はいじめの事実を認めず、警察の捜査は遅々として進まない。私たち親が情報を集める事もせず黙っている事はもはやできない。どんな些細な事でもわかれば連絡をしてほしい。」
と言ってくる。名を尋ねると男女は岡崎と名乗る。
もし探索者が捜索の見返りを求めるなら夫妻は応じるだろう。
彼らは娘由乃に関する情報が記載されたビラを残して立ち去る。探索者が質問しようとすると彼らは
「娘は学校での事について話をしない子だったので詳しい事はわからない。」
という返答をする。
ビラには以下の情報が記載されている。
・被害者：岡崎由乃（オカザキヨシノ）17歳
・人気のない街路で発見。刺殺。下校中と思われる
・奪われた持ち物などはない
・刺し傷の状態からして、鋭利な刃物で前面から刺されたものと考えられるため、顔見知りの犯行の可能性がある
・SNSで友人とのトラブルがあったらしい
・通っていた学校の名前は「私立加山清美記念高校」
探索者たちはそれぞれの正義感や関心から事件の調査を開始する。
＜聞き込み：KP情報＞
このシナリオでは聞き込みの際対象が妖刀の影響下にあるかシークレット判定し、影響下の場合 《警戒ポイント》が一点加算される。1D6が奇数の場合、対象は妖刀の影響下にある。
このポイントはクライマックスで使用するので正確に把握すること。
＜聞き込み＞
探索者が適切なRPや技能を使用した場合以下の情報を提供する。
高校の場合：
生徒に聞き込みする場合 → おかしそうに「あのこさー、レズだったんだって！」「でもそれ、幼馴染の美弥にバラされたらしいよー、やばくなーい！？」などと話すが、根拠はない。噂である。
美弥について質問すると「あの子マジオタクって感じでー、なんかゲームとかすきでー、陰キャってかんじ？」と答える。
教師に聞き込みする場合 → わざとらしい咳払いと「この度の事件は誠に残念ですが、現在は調査を警察に一任しておりますので私共からお話しできる事はありません」と答え、いじめについて問いただすと「そのような事は事実として認識しておりません」となにも情報はない。
街：
由乃、美弥共に悪い噂はない。
ただ、美弥に関してはアニメやゲーム、漫画の影響を受けやすく、言動に影響が出る事があった。
新聞社（先に新聞記事を調査している事が条件）：
証言した生徒の情報保護のためにも証言もとは明かせないとするが、「確実に信頼できる情報である」と答える。
現状警察発表と記事の生徒証言以外に情報はないとのこと。
＜調査：図書館など＞
図書館など、適切な技能に成功した場合以下の情報を開示する。
新聞記事：
女子高生連続刺殺事件は大変センセーショナルに報道されている。
美弥の部屋に残されていたというライトノベルなどが影響を与えたとして批判する向きもある。
そんな記事の中に以下の情報がある。
「第一被害者のいじめ加害者、幼馴染が主犯か？ - 三ヶ月前に刺殺体で発見された高校生、岡崎由乃さんは学校でいじめにあっていたとする証言を入手。なんと主犯は同じく刺殺された高校生、田代美弥さんであったとする複数の証言を生徒らから聞き取る事に成功した。岡崎さんはいわゆるセクシャルマイノリティで、田代美弥さんを含む数人の親しい友人にカミングアウトを行っていたという。由乃さんはこれを内々の秘密にしてほしいと希望したが、その秘密が漏れてしまい、いじめに発展した。その秘密を明かしていじめを始めたのが幼馴染であった美弥さんだった。」
＜調査：インターネット＞
コンピューターや図書館技能に成功すると、以下の検索結果を得られる。
インターネットで複数キーワード検索してみると、あるつぶやきアカウントがヒットする。アカウント情報は以下の通り。
名前：Yuno
プロフィール：加山二年、Lリバです。相方募集中(ｗ
最近のつぶやき：
「私が変だからいけないの。集団生活って、そゆことでしょ」「人ってわかんないよね。。。付き合い長くてもさ。。。なんてねw」「あたしはまだ信じてるぞー！」「Mやんの勧めでゲーム始めたけど名前の区別つかなくて笑ったwwwww全員とうしろうwwwwwww」「コウタには好かれてるっぽいけど、悪いけど男は。。。w」
＜捜索：由乃の部屋＞
事情を説明すれば由乃の両親は探索者を由乃の部屋に通してくれる。
部屋は女の子らしい色彩で、ベッド、勉強机、クローゼットがある。
それぞれ適切に調査した結果は以下の通り。
机：参考書などが置いてあり、社会学系の大学の資料も見受けられる。ノートパソコンもあり、起動するとロックはかかっておらず、直前まで開いていたらしいブラウザが立ち上がる。ブックマークにはジェンダー系のサイトやレズビアンのコミュニティサイト、日本刀を擬人化したキャラクターのブラウザゲームなどがある。
ベッド：側のゴミ箱に書き捨てた便箋が丸めて捨ててある。内容は「みややんへ。急にこんなこと口に出して言うのはずかしいから手紙にするね。私ね、昔からみややんが大好きなの。みややんが言う『好き』とは違うんだけど……」
クローゼット：扉の裏には何枚もチェキが貼られたコルクボードがかかっている。それぞれ写真の脇に「高校初デート！」「花火大会！浴衣姿ちょーかわいい」など、手書きの文字が並んでいる。
＜捜索：美弥の部屋＞
美弥の両親とは初対面になるので、部屋に通してもらうには説得か言いくるめに成功する必要がある。
部屋は飾り気のないシンプルな雰囲気だが、壁にはアニメかゲームのキャラクターのイラストポスターが貼られている。目星技能二成功すると、このキャラクターは女性を中心に人気のある、日本刀を擬人化したキャラクターだとわかる。他に、部屋にはベッドと机、クローゼットがあるが、クローゼットには洋服しかなく、ベッドには寝具以外なにもない。
机にはノートパソコンが一台置かれている。こちらにはロックがかかっているため、起動にはコンピューターに−10の修正値で判定を成功させる必要がある。
PCは起動するとブラウザが立ち上がり、ブックマークや閲覧履歴を見る事ができる。
履歴とブックマークには以下の情報が残っている。
「日本の都市伝説まとめ - 口減らしの歴史」「暗黒遺跡群 - 廃村Aの歴史」「幾つかのブラウザゲーム」
上記のうち「日本の都市伝説まとめ」と「暗黒遺跡群」に関してはそれぞれ図書館技能に成功するか母国語判定成功で内容を要約して理解することができる。複数探索者がいる場合は、一人でも技能に成功すれば情報を全員に共有するものとして良い。
「日本の都市伝説まとめ」
各地方の都市伝説をまとめたwiki。中でも美弥はA地方についてよく参照していたらしく、履歴が多く残っている。
そのA地方にはかつてA村という村があり、現在は廃村になっているが、まだ村に住民がおり、他の村との交流もあった頃の資料として古い書物のスキャン画像が載っている。それによると村には人身御供の習慣があり、犠牲者は刀の形をした神に捧げられるという。生贄は刀に憑いた神が求めるものであると考えられていた。その刀を描いた古い毛筆による絵のスキャンも掲示されている。知識技能か博物学技能に成功すれば、それが短刀であることがわかる。
SANC1/1d4
「暗黒遺跡群」
曰く付きの史跡などをまとめたサイト。ブックマークされているのはA村の歴史というページで、その中に「人の血を吸う神の刀を祀った神社」として朽ちかけた建造物の写真が掲載されている。
そのページによると、A村は住民同士がその刀で殺しあったことで地図から消えたとある。
ページには毛筆画のスキャンも掲載されており、その絵には肋骨が浮き出るほど痩せて腹だけが膨らんだような人々が、隻腕で同じように痩せ衰えた人物を短刀と見られる刃物で襲っているように見える。絵に添えられた崩字による文言はサイト内で判読されて解説されている。
それによればこの絵は口減らしのために障害のある住民を殺めている絵であり、A村においては祭祀にも近い存在だったという。
サイトではこれがA村滅亡の理由であると考察されている。
SANC1/1d4
調査を終えた探索者たちがPCを閉じる際、目星技能に成功した場合、そのデスクトップを一瞬見る事ができる。いわゆる美青年キャラクターであるが、プロによるものではなさそうだ。手には短刀を握っている。
さらに探索者が理由を挙げてそのキャラクターに関して検索などを行った場合、適切な技能に成功した場合、そのキャラクターは日本刀擬人化ゲームのキャラクターと服装などの点で似通っているが、作品には存在しないキャラクターであるとわかる。
（KP情報：美弥が創作した妖刀のキャラクター絵である）
さらにイラスト情報で画像検索などを希望する場合、イラストSNSのページがヒットする。アカウント名は「みーやん」で、イラストのタイトルは「創作刀w」とある。プロフィールにはつぶやきアカウントへのリンクもある。
以下は最近のつぶやき内容である。
「言葉で言い表せないんだけど、なんだろう、何か切ってみたい」「本当に聞こえるんだってば！」「すごい、この子話しかけてくる」「最近はいつももちあるいてるんよーw」「守り刀ってやつ？w」「ねえすごい、ゴミの中に収集されなかったの残ってたんだけど、短刀があったんよ！資料に持って帰ったったww」
＜調査：A村について＞
図書館やインターネットで調査するか、学校で聞き込みをするか探索者に選択させる。この時別行動は不可とする。
＜図書館などで調査する場合＞
技能値に−10の修正を加えるものとする。
成功すると、村で行われていた儀式に関する資料が手に入る。内容は以下。
「神は人の血がなければ静まることがない。しかも一人の人間の致死量を超える血液が必要である。そのため村では異端者を殺めていた。犠牲者を選ぶ基準は異端であると周囲にみなされること。そのため村内は疑心暗鬼と相互監視に溢れ、この時点で何人もの脱出者を出している。儀式は回数を減らしながらエスカレートし、ついにA村の人口は０となった。最後の犠牲者は村を治めていた加山清美であるとされている。死因は自害と思われる。」
SANC1/1d6
以上の情報を開示した後、探索者はパトカーのサイレンを耳にする。どうやら私立加山清美記念高校へ向かっているようで、外に出てみると近所の住人たちが
「男子高校生が刀振り回してるってよ」
などと騒いでいる。
探索者は学校に向かうことになる。
学校に到着すると男子生徒が短刀を振り回して暴れている。周囲は
「なにやってんの、康太！」「清水、それを置きなさい！」
などと大声を出している。
清水康太に対しては精神分析や心理学技能、交渉技能は自動失敗する
＜学校で聞き込みをする場合＞
学校で生徒や教員に聞き込みをしようとする場合、突如背後に人影が現れる。この時襲われるのは最も《警戒ポイント》が高い探索者である。同点の場合はダイスで決定する。
襲い掛かってきたのは男子学生で、周囲にいた人々は
「なにやってんの、康太！」「清水、それを置きなさい！」
などと大声を出している。
清水康太に対しては精神分析や心理学技能、交渉技能は自動失敗する。
以降は共通して戦闘を行う。
＜戦闘：清水康太（妖刀）＞
妖刀に憑かれた清水の基本情報は以下。
dex12 con12 str12 hp12
＜回避＞60％、＜ナイフ＞35%(1d4)
※攻撃対象は敏捷ではなく《警戒ポイント》に従う。
康太は戦闘中、任意のタイミングで以下のような言葉を叫ぶ
「美弥のせいだ！あいつが由乃を殺した！！！」「ずっと好きだったのに！」
など。KPが自由に文言を変更して良いが、美弥への恨み、美弥が由乃を殺害したこと、康太は由乃に想いを寄せていたことをふまえること。
戦闘終了後以下の状況が考えられる。
清水康太を殺害した → 正当防衛として探索者は不起訴となる。SANC1/1d4
清水康太を無力化した → KO判定など。警察が後の処理を引き継ぐ
＜妖刀の処理＞
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去を完全に知っている場合）→バッドエンドA
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去を完全には知らない場合）→バッドエンドB
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去をまったく知らない場合）→ノーマルエンド
妖刀を回収した場合（かつ、儀式を知らない、もしくは行わない場合）→バッドエンドC
妖刀を回収した場合（かつ、儀式を知っていて行う場合）→儀式シーンへ
＜儀式シーン＞
アイデア成功で前回の儀式から100年以上経過していることから、今回探索者たちが鎮めの儀式を行えばそれ以上の長い間妖刀を封じ込められると推測できることを提示する。
儀式までたどり着けた場合、探索者の行動は
→自分一人の血を捧げて妖刀を鎮める場合
→探索者複数人で合計大人一人分以上の血を捧げる場合
が考えられる。
どちらも妖刀の力を100年以上抑え込むことができるが、前者は探索者が犠牲になるので十分ドラマチックに演出を行うこと。
儀式後、妖刀は刃物特有の鈍い輝きを失う。おめでとう、これで向こう100年は怪事件は起こらない。
SANC1d4/1d10→グッドエンドへ
＜エンド集＞
・グッドエンド
犠牲を払いながらも探索者たちは妖刀を眠らせることに成功した。
しかし彼らは陣地の及ばない、世界の昏い側面を知ってしまった。
（クトゥルフ神話技能３％上昇）
事件ははっきりしないまま世間から忘れられる。清水が生存している場合、彼は精神鑑定ののち不起訴となる。
真実を知っているのは探索者たちだけだ。
SAN回復1d6
・ノーマルエンド
あなたは日常に帰っていく。
いつその日常が崩れ去るか知らずに。
あなたは知らない。
遠くない未来、その首筋に白刃が突き立てられることを。
・バッドエンドA
あなたは恐怖に屈した。
あるいは判断することをやめてしまった。
あなたにはわかるだろう。いつか、近い将来、その首に血を吸う妖刀が突き立てられることが。
・バッドエンドB
結局刀の謎は謎のまま、あなたはゆっくりと日常に戻されてゆく。
あなたは漠然とした恐怖と、形の定まらない悪夢に苛まれることだろう。
しかしその恐怖と悪夢は遠くない将来、あなたの前に形を持って現れることだろう。
・バッドエンドC
あなたの手には件の短刀だけが残され、事件は風化してゆく。
ある日あなたは耳にするだろう。渇きに苦しみ、鮮血に焦がれるなにかの声が。
- end -
このシナリオは現代を舞台にしたCoCシナリオであるが、改造すればインセインやマギカロギアなどでも使用できる。その際、書き換えに制限は設けないが、商業利用は禁止とする。
CoCでプレイする場合、希望があれば現代サプリを使用しても良い。
＜背景＞
江戸時代から明治初期にかけて存在したA村では、貧困のため不定期に口減らしとして村人の一部を殺害することがあった。
犠牲として選ばれるものは、身体が不自由であったり、他と異なる思想を持っていたり、村の大勢と相容れない言動をとる者など、いわゆる「はみ出し者」たちだった。
口減らしは神社にて、小刀を用いるのが決まりだった。
いつしかこの口減らしは儀式化し、小刀は神聖視され始めた。
数多の犠牲者の無念と怨念を吸い続け、畏れるべき神と信じ続けられた小刀はいつからか、邪悪な意志を持った妖刀と化した。
そして妖刀はさらなる犠牲の血を求め、村人たちの無意識下に干渉し、大衆の意志を操るようになった。
明治を迎え、村の貧困が以前よりは改善されても、妖刀に魅せられた村人たちは、それが望むままに血を捧げ続けた。以前と同様、村の中の異端者を次々に殺害していったのだ。
このようにして殺戮の目的は口減らしから異端者狩りにすり変わり、村人たちは同調圧力と互いの監視、そして疑心暗鬼の渦に陥った。少しの言動、わずかな周囲との差が発覚すれば、殺されるのは決まっていた。
そうして村人たちは殺し合い、ついには一人の生き残りもなく滅んでしまった。
現在A村がどこに存在していたのかはインターネット上の都市伝説となり、人から人に噂されるだけのものになった。村には妖刀を祀る朽ちかけた神社が立っているのみであるという。
時代は現代に移ろい、高度に発展をみせたが、それでも妖刀は血と崇拝に飢えていた。
そして災いの神と化した妖刀は人知れず神社から消え、いつの間にか都市部に姿を現した。
ゴミ捨て場に転がっていたそれを、とあるゲームの影響を受けていた女子高生、田代美弥が自宅に持ち帰った。そして彼女は妖刀の影響を受け始めた。彼女は妖刀を守り刀として携帯するようになった。
妖刀は数ヶ月をかけて彼女の通う私立加山清美記念高校の学生たちの無意識下を侵食していった。そのころから同校ではいじめ問題が噂されるようになった。
そして第一の事件、美弥の幼馴染である岡崎由乃殺害事件が発生した。
犯人は妖刀に憑かれていた美弥であり、死因は正面から刺された事による失血性ショック死だった。由乃は親友数人に「自分がレズビアンである事」を打ち明けていた。それが噂として広まり、由乃はクラス内で浮いた存在となっていた。
警察による捜査の甲斐なく、また、いじめの事実を隠蔽しようとした学校側の根回しもあり、犯人の特定には至っていない。
由乃の死後、彼女の秘密を広めたのは美弥であるという噂が急に広まった。幼馴染を裏切ったとして、今度は美弥がいじめを受けるようになっていった。
第二の事件は由乃の事件から三ヶ月後、ある早朝。部活の朝練で校庭にやってきた生徒によって美弥の死体が発見された。遺体には争ったような形跡があり、死因は複数回鋭利な刃物で刺された事によるものだった。
この事件は由乃に想いを寄せていた同学年の清水康太によって行われた犯行である。
前記の美弥の噂を質しに彼女を呼び出した康太は言い争いからもみ合いに発展し、彼女が武器として取り出した妖刀によって逆に彼女を刺し殺したのだ。
妖刀は康太が持ち去ったために発見されず、殺害された二人とも鋭利な刃物による刺殺だったため、警察は高校生を狙った同一犯の犯行であるとみて捜査している。
以上が事件に関する事実である。
探索者たちはこれらの事実に加えて妖刀の存在と過去を明らかにする事になる。
＜導入＞
探索者たちはそれぞれ友人同士で誰かの家でくつろいでいるのが望ましい。
探索者たちは近頃ワイドショーを賑わせている連続女子高生刺殺事件に関心を寄せている。
なんでも同じ高校の女子生徒二人が連続して刺殺されたとの事だ。しかも二人は幼馴染である事から、二人の共通の知り合いの犯行と思われる。
また、同校では被害者に対するいじめがあったらしい事から自殺の説も有力で、由乃に関してはレズビアンであるとの噂もあるらしい。
それら死亡した二人の情報をなんの配慮もなく騒ぎ立てるマスコミに、探索者は嫌悪感を感じるかもしれない。
アナウンサーやコメンテーターは好奇心をむき出しにして
「多感な思春期の二人と周囲になにがあったのか、いじめ、セクシャルマイノリティ！？高校生が抱える心の闇！」などとしきりに語っている。（KPはここでは可能な限り不快感を与える事に尽力されたい）
「続いては神社仏閣を巡る癒しの旅と、若者の間で流行中の日本刀について〜」というテレビからの声をかき消すように玄関のインターホンが鳴る。
応じて扉を開くとそこには憔悴しきった様子の男女の姿がある。
要件を尋ねると
「娘が殺害された。いじめの噂もある。なのに学校はいじめの事実を認めず、警察の捜査は遅々として進まない。私たち親が情報を集める事もせず黙っている事はもはやできない。どんな些細な事でもわかれば連絡をしてほしい。」
と言ってくる。名を尋ねると男女は岡崎と名乗る。
もし探索者が捜索の見返りを求めるなら夫妻は応じるだろう。
彼らは娘由乃に関する情報が記載されたビラを残して立ち去る。探索者が質問しようとすると彼らは
「娘は学校での事について話をしない子だったので詳しい事はわからない。」
という返答をする。
ビラには以下の情報が記載されている。
・被害者：岡崎由乃（オカザキヨシノ）17歳
・人気のない街路で発見。刺殺。下校中と思われる
・奪われた持ち物などはない
・刺し傷の状態からして、鋭利な刃物で前面から刺されたものと考えられるため、顔見知りの犯行の可能性がある
・SNSで友人とのトラブルがあったらしい
・通っていた学校の名前は「私立加山清美記念高校」
探索者たちはそれぞれの正義感や関心から事件の調査を開始する。
＜聞き込み：KP情報＞
このシナリオでは聞き込みの際対象が妖刀の影響下にあるかシークレット判定し、影響下の場合 《警戒ポイント》が一点加算される。1D6が奇数の場合、対象は妖刀の影響下にある。
このポイントはクライマックスで使用するので正確に把握すること。
＜聞き込み＞
探索者が適切なRPや技能を使用した場合以下の情報を提供する。
高校の場合：
生徒に聞き込みする場合 → おかしそうに「あのこさー、レズだったんだって！」「でもそれ、幼馴染の美弥にバラされたらしいよー、やばくなーい！？」などと話すが、根拠はない。噂である。
美弥について質問すると「あの子マジオタクって感じでー、なんかゲームとかすきでー、陰キャってかんじ？」と答える。
教師に聞き込みする場合 → わざとらしい咳払いと「この度の事件は誠に残念ですが、現在は調査を警察に一任しておりますので私共からお話しできる事はありません」と答え、いじめについて問いただすと「そのような事は事実として認識しておりません」となにも情報はない。
街：
由乃、美弥共に悪い噂はない。
ただ、美弥に関してはアニメやゲーム、漫画の影響を受けやすく、言動に影響が出る事があった。
新聞社（先に新聞記事を調査している事が条件）：
証言した生徒の情報保護のためにも証言もとは明かせないとするが、「確実に信頼できる情報である」と答える。
現状警察発表と記事の生徒証言以外に情報はないとのこと。
＜調査：図書館など＞
図書館など、適切な技能に成功した場合以下の情報を開示する。
新聞記事：
女子高生連続刺殺事件は大変センセーショナルに報道されている。
美弥の部屋に残されていたというライトノベルなどが影響を与えたとして批判する向きもある。
そんな記事の中に以下の情報がある。
「第一被害者のいじめ加害者、幼馴染が主犯か？ - 三ヶ月前に刺殺体で発見された高校生、岡崎由乃さんは学校でいじめにあっていたとする証言を入手。なんと主犯は同じく刺殺された高校生、田代美弥さんであったとする複数の証言を生徒らから聞き取る事に成功した。岡崎さんはいわゆるセクシャルマイノリティで、田代美弥さんを含む数人の親しい友人にカミングアウトを行っていたという。由乃さんはこれを内々の秘密にしてほしいと希望したが、その秘密が漏れてしまい、いじめに発展した。その秘密を明かしていじめを始めたのが幼馴染であった美弥さんだった。」
＜調査：インターネット＞
コンピューターや図書館技能に成功すると、以下の検索結果を得られる。
インターネットで複数キーワード検索してみると、あるつぶやきアカウントがヒットする。アカウント情報は以下の通り。
名前：Yuno
プロフィール：加山二年、Lリバです。相方募集中(ｗ
最近のつぶやき：
「私が変だからいけないの。集団生活って、そゆことでしょ」「人ってわかんないよね。。。付き合い長くてもさ。。。なんてねw」「あたしはまだ信じてるぞー！」「Mやんの勧めでゲーム始めたけど名前の区別つかなくて笑ったwwwww全員とうしろうwwwwwww」「コウタには好かれてるっぽいけど、悪いけど男は。。。w」
＜捜索：由乃の部屋＞
事情を説明すれば由乃の両親は探索者を由乃の部屋に通してくれる。
部屋は女の子らしい色彩で、ベッド、勉強机、クローゼットがある。
それぞれ適切に調査した結果は以下の通り。
机：参考書などが置いてあり、社会学系の大学の資料も見受けられる。ノートパソコンもあり、起動するとロックはかかっておらず、直前まで開いていたらしいブラウザが立ち上がる。ブックマークにはジェンダー系のサイトやレズビアンのコミュニティサイト、日本刀を擬人化したキャラクターのブラウザゲームなどがある。
ベッド：側のゴミ箱に書き捨てた便箋が丸めて捨ててある。内容は「みややんへ。急にこんなこと口に出して言うのはずかしいから手紙にするね。私ね、昔からみややんが大好きなの。みややんが言う『好き』とは違うんだけど……」
クローゼット：扉の裏には何枚もチェキが貼られたコルクボードがかかっている。それぞれ写真の脇に「高校初デート！」「花火大会！浴衣姿ちょーかわいい」など、手書きの文字が並んでいる。
＜捜索：美弥の部屋＞
美弥の両親とは初対面になるので、部屋に通してもらうには説得か言いくるめに成功する必要がある。
部屋は飾り気のないシンプルな雰囲気だが、壁にはアニメかゲームのキャラクターのイラストポスターが貼られている。目星技能二成功すると、このキャラクターは女性を中心に人気のある、日本刀を擬人化したキャラクターだとわかる。他に、部屋にはベッドと机、クローゼットがあるが、クローゼットには洋服しかなく、ベッドには寝具以外なにもない。
机にはノートパソコンが一台置かれている。こちらにはロックがかかっているため、起動にはコンピューターに−10の修正値で判定を成功させる必要がある。
PCは起動するとブラウザが立ち上がり、ブックマークや閲覧履歴を見る事ができる。
履歴とブックマークには以下の情報が残っている。
「日本の都市伝説まとめ - 口減らしの歴史」「暗黒遺跡群 - 廃村Aの歴史」「幾つかのブラウザゲーム」
上記のうち「日本の都市伝説まとめ」と「暗黒遺跡群」に関してはそれぞれ図書館技能に成功するか母国語判定成功で内容を要約して理解することができる。複数探索者がいる場合は、一人でも技能に成功すれば情報を全員に共有するものとして良い。
「日本の都市伝説まとめ」
各地方の都市伝説をまとめたwiki。中でも美弥はA地方についてよく参照していたらしく、履歴が多く残っている。
そのA地方にはかつてA村という村があり、現在は廃村になっているが、まだ村に住民がおり、他の村との交流もあった頃の資料として古い書物のスキャン画像が載っている。それによると村には人身御供の習慣があり、犠牲者は刀の形をした神に捧げられるという。生贄は刀に憑いた神が求めるものであると考えられていた。その刀を描いた古い毛筆による絵のスキャンも掲示されている。知識技能か博物学技能に成功すれば、それが短刀であることがわかる。
SANC1/1d4
「暗黒遺跡群」
曰く付きの史跡などをまとめたサイト。ブックマークされているのはA村の歴史というページで、その中に「人の血を吸う神の刀を祀った神社」として朽ちかけた建造物の写真が掲載されている。
そのページによると、A村は住民同士がその刀で殺しあったことで地図から消えたとある。
ページには毛筆画のスキャンも掲載されており、その絵には肋骨が浮き出るほど痩せて腹だけが膨らんだような人々が、隻腕で同じように痩せ衰えた人物を短刀と見られる刃物で襲っているように見える。絵に添えられた崩字による文言はサイト内で判読されて解説されている。
それによればこの絵は口減らしのために障害のある住民を殺めている絵であり、A村においては祭祀にも近い存在だったという。
サイトではこれがA村滅亡の理由であると考察されている。
SANC1/1d4
調査を終えた探索者たちがPCを閉じる際、目星技能に成功した場合、そのデスクトップを一瞬見る事ができる。いわゆる美青年キャラクターであるが、プロによるものではなさそうだ。手には短刀を握っている。
さらに探索者が理由を挙げてそのキャラクターに関して検索などを行った場合、適切な技能に成功した場合、そのキャラクターは日本刀擬人化ゲームのキャラクターと服装などの点で似通っているが、作品には存在しないキャラクターであるとわかる。
（KP情報：美弥が創作した妖刀のキャラクター絵である）
さらにイラスト情報で画像検索などを希望する場合、イラストSNSのページがヒットする。アカウント名は「みーやん」で、イラストのタイトルは「創作刀w」とある。プロフィールにはつぶやきアカウントへのリンクもある。
以下は最近のつぶやき内容である。
「言葉で言い表せないんだけど、なんだろう、何か切ってみたい」「本当に聞こえるんだってば！」「すごい、この子話しかけてくる」「最近はいつももちあるいてるんよーw」「守り刀ってやつ？w」「ねえすごい、ゴミの中に収集されなかったの残ってたんだけど、短刀があったんよ！資料に持って帰ったったww」
＜調査：A村について＞
図書館やインターネットで調査するか、学校で聞き込みをするか探索者に選択させる。この時別行動は不可とする。
＜図書館などで調査する場合＞
技能値に−10の修正を加えるものとする。
成功すると、村で行われていた儀式に関する資料が手に入る。内容は以下。
「神は人の血がなければ静まることがない。しかも一人の人間の致死量を超える血液が必要である。そのため村では異端者を殺めていた。犠牲者を選ぶ基準は異端であると周囲にみなされること。そのため村内は疑心暗鬼と相互監視に溢れ、この時点で何人もの脱出者を出している。儀式は回数を減らしながらエスカレートし、ついにA村の人口は０となった。最後の犠牲者は村を治めていた加山清美であるとされている。死因は自害と思われる。」
SANC1/1d6
以上の情報を開示した後、探索者はパトカーのサイレンを耳にする。どうやら私立加山清美記念高校へ向かっているようで、外に出てみると近所の住人たちが
「男子高校生が刀振り回してるってよ」
などと騒いでいる。
探索者は学校に向かうことになる。
学校に到着すると男子生徒が短刀を振り回して暴れている。周囲は
「なにやってんの、康太！」「清水、それを置きなさい！」
などと大声を出している。
清水康太に対しては精神分析や心理学技能、交渉技能は自動失敗する
＜学校で聞き込みをする場合＞
学校で生徒や教員に聞き込みをしようとする場合、突如背後に人影が現れる。この時襲われるのは最も《警戒ポイント》が高い探索者である。同点の場合はダイスで決定する。
襲い掛かってきたのは男子学生で、周囲にいた人々は
「なにやってんの、康太！」「清水、それを置きなさい！」
などと大声を出している。
清水康太に対しては精神分析や心理学技能、交渉技能は自動失敗する。
以降は共通して戦闘を行う。
＜戦闘：清水康太（妖刀）＞
妖刀に憑かれた清水の基本情報は以下。
dex12 con12 str12 hp12
＜回避＞60％、＜ナイフ＞35%(1d4)
※攻撃対象は敏捷ではなく《警戒ポイント》に従う。
康太は戦闘中、任意のタイミングで以下のような言葉を叫ぶ
「美弥のせいだ！あいつが由乃を殺した！！！」「ずっと好きだったのに！」
など。KPが自由に文言を変更して良いが、美弥への恨み、美弥が由乃を殺害したこと、康太は由乃に想いを寄せていたことをふまえること。
戦闘終了後以下の状況が考えられる。
清水康太を殺害した → 正当防衛として探索者は不起訴となる。SANC1/1d4
清水康太を無力化した → KO判定など。警察が後の処理を引き継ぐ
＜妖刀の処理＞
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去を完全に知っている場合）→バッドエンドA
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去を完全には知らない場合）→バッドエンドB
妖刀を放置した場合（かつ、妖刀の過去をまったく知らない場合）→ノーマルエンド
妖刀を回収した場合（かつ、儀式を知らない、もしくは行わない場合）→バッドエンドC
妖刀を回収した場合（かつ、儀式を知っていて行う場合）→儀式シーンへ
＜儀式シーン＞
アイデア成功で前回の儀式から100年以上経過していることから、今回探索者たちが鎮めの儀式を行えばそれ以上の長い間妖刀を封じ込められると推測できることを提示する。
儀式までたどり着けた場合、探索者の行動は
→自分一人の血を捧げて妖刀を鎮める場合
→探索者複数人で合計大人一人分以上の血を捧げる場合
が考えられる。
どちらも妖刀の力を100年以上抑え込むことができるが、前者は探索者が犠牲になるので十分ドラマチックに演出を行うこと。
儀式後、妖刀は刃物特有の鈍い輝きを失う。おめでとう、これで向こう100年は怪事件は起こらない。
SANC1d4/1d10→グッドエンドへ
＜エンド集＞
・グッドエンド
犠牲を払いながらも探索者たちは妖刀を眠らせることに成功した。
しかし彼らは陣地の及ばない、世界の昏い側面を知ってしまった。
（クトゥルフ神話技能３％上昇）
事件ははっきりしないまま世間から忘れられる。清水が生存している場合、彼は精神鑑定ののち不起訴となる。
真実を知っているのは探索者たちだけだ。
SAN回復1d6
・ノーマルエンド
あなたは日常に帰っていく。
いつその日常が崩れ去るか知らずに。
あなたは知らない。
遠くない未来、その首筋に白刃が突き立てられることを。
・バッドエンドA
あなたは恐怖に屈した。
あるいは判断することをやめてしまった。
あなたにはわかるだろう。いつか、近い将来、その首に血を吸う妖刀が突き立てられることが。
・バッドエンドB
結局刀の謎は謎のまま、あなたはゆっくりと日常に戻されてゆく。
あなたは漠然とした恐怖と、形の定まらない悪夢に苛まれることだろう。
しかしその恐怖と悪夢は遠くない将来、あなたの前に形を持って現れることだろう。
・バッドエンドC
あなたの手には件の短刀だけが残され、事件は風化してゆく。
ある日あなたは耳にするだろう。渇きに苦しみ、鮮血に焦がれるなにかの声が。
- end -
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