CoCオリジナルシナリオ「なんかついてます?:改」

※pixivにて公開しているシナリオ「なんかついてます?」の改訂版です。

■はじめに
このシナリオは現代日本を舞台としたクトゥルフ神話TRPG用シナリオです。
基本ルールブックに加え、参考として「マレウス・モンストロルム」を参照しています。
プレイ時間は音声セッションで時間程度を見込みます。
プレイヤーへは先に以下の注意点を伝えてください。
・戦闘での解決は見込めません。無理に押さず、探索をしましょう。
・探索向きのキャラクターを作成してください。必須技能はありませんが、調査系技能は取得すると良いでしょう。

KP情報
このシナリオはヨグ=ソトースの息子である「依田」が引き起こした事件である。
依田は他のヨグ=ソトースの息子たちと同様、親をこの世界に召喚するための研究に熱中している。
依田は、民衆自体をヨグ=ソトースの「泡」に変化させることで「彼の次元」と「この次元」を結び、「本体」を召喚する方法に至った。

泡への変化は感染力を持ち、症状は一見するとペストに類似している(リンパ節の腫れ、発熱など)が、加えて体が一部から金属のように光を反射するかさぶた状のものに覆われ、次第に広がっていく。これが全身に広がると死に至る。
なおこれは探索者たち以外には通常のかさぶたに見える。

特殊ルールとして「感染ポイント」を導入する。
シナリオ内に明記する箇所に加えて、KPの裁量で増減する。ぐだったときなど。
どどんとふならシークレットダイスを鳴らすなどして警告すると親切でしょう。今良くない値が増えてるぞ、と。

依田の計画は彼の父を召喚に成功することで完遂される。
探索者たちは異変に気づいた数少ない人類として、彼の降臨を妨げることになる。

■導入
なんでもないある日、東京都在住の探索者たちは家族の誰かの額、もしくは鼻、頬などにかさぶたのようなものを見つける。
大きさは数mmからcm程ある。
しかし他の家族や本人は気にするような様子はなく、見つめていると「なんかついてる」と訝しむ。

数日後、かさぶたは確実に大きくなっていき、本人も「何処かで怪我をしたのかもしれない」などと気にし始める。

何かの用事で外出したあなたは、街を歩く人々の中にも、数人、同様のかさぶたを発見する。
光の角度の影響なのか、かさぶたが奇妙に輝いたような気がした。SANC0/1

■ネットニュース
薄っすらと気味の悪い感覚の残ったあなたは<図書館>成功でSNSなどのまとめサイトあるいは掲示板などでこんなスレッドを発見する。(成功するまで再挑戦可能。回以上挑戦で感染ポイント10
「身に覚えがない怪我があるんだけどなんだこれ」
記事には写真が添付されている。記事の書き込みは一様に「気にしすぎ」「ドジっ子乙」などと気に留めるものはない。
しかし<アイデア>成功であなたはこの写真のかさぶたも、金属質な光の反射をしていることに気づく。

■テレビ番組・ペスト
その日のトップニュースでは、ペストの再流行について有識者が語っている。
都内の野生ネズミの中に、ペスト菌に類似したものを保菌する個体が見つかったという。
発熱、リンパ節の腫れに加え、こぶか、もしくはかさぶたに似たものが発生するという。
なおリンパ節に現れるペストは空気感染せず、現在の医療では完治可能である。

そのニュースを見た家族が言う。
「やだな、少し風邪っぽいんだ」
最近S区の商業施設に訪れたという家族は、後日病院に行くことになった。

■急変
翌日、家族の容態は急変した。かさぶた状の組織は急速に広がり、体の分のを覆っている。
自力での歩行も困難な様子である。
医師の対応も悪く、「こういう検査はある程度進行しないことには結果が出にくいんです」などとのんきなことを言っている。

あなたは家族を襲った病魔の手がかりを得るために調査を開始する。

S区商業施設
商業施設内は飲食店も多く、先の報道の件もあるためか、施設内には「衛生、安全」を謳う張り紙が目立つ。
施設内には殺鼠剤を撒く職員の姿がある。

■職員「依田」の話
探索者は殺鼠剤を散布する清掃員の依田に話を聞くことができる。
依田によれば、保菌ネズミが発生したのは先週のこと。感染はノミを媒介して広がり、数日の潜伏期間を経て発症する、ペストに酷似した細菌が原因である。そのため依田は殺鼠剤の散布に奔走している。
「全く困ったものですよ。早く終わってくれなきゃ、いつまでたっても安心なんかできやしません」

もし、探索者の中に薬学か生物学に通じた者がいて、依田に気づかれず(<幸運>などの成功もしくは<言いくるめ>成功)殺鼠剤タンクの中身を採取し、後ほど調べることができれば、それは殺鼠剤ではなく何かの細菌か微生物の培養液であり、液体の中にはそれらが活動しているかもしれないことに気づく。
しかしそれがわかるのは帰宅後であるため依田に問い詰めることはできない。
(殺鼠剤タンクの中身に気づいた場合SANC0/1d2、気が付かなかった場合感染ポイント15


■依田の行方不明
翌日、探索者たちの家には警察が訪問している。
依田が行方不明になり、家には培養液と「とある細菌」が付着した遺留品が残されていた。(前項で細菌に気づいていなかった場合ここでSANC0/1d2
依田が行方不明になる前に接触していた探索者たちから依田の足取りを探るために聞き込みを行う。

・会った日の依田の様子
・行き先に心当たりはあるか
MS街の依田の家にあった培養液とその中身に心当たりはあるか(探索者はここで大まかな依田の住所入手)

などを尋ねられるが、探索者には当然心当たりはない。
話の中に出てきた依田の住所は地図を参照するなどすれば<図書館>で正確な住所を特定できる。(成功するまで振り直し可。回以上挑戦で感染ポイント10

■依田の自宅
依田の自宅はM区の賃貸マンションで、今はもぬけの殻となっている。殺人などが起きた現場ではないので侵入は可能。ただし周囲に警察の目はあると考えた方が良い。
家の中には依田のノートが数冊ある以外めぼしいものはない。
ノートを読むには「<図書館>成功までのロール挑戦回数 × 30分」かかるものとする。(回以上挑戦で感染ポイント10

■依田の研究ノート
・外なる神の招来について
僕は長い間勘違いをしていたかも知れない。
門を開くのに、それが建設されるまでおとなしく待つのは得策ではない。
門がないならまず建てなければ。
この街に何千万といる人間を使えれば…。

・門について
父は必ず門の近くにいる。それは父が一つにしてすべてであることからも間違いない。
父が門を開かずとも、僕が門を築き、開けば必ず父は応じる。
大昔に人間を絶滅させかけた病原菌に呪文を施した。
これに罹った者はヨグ=ソトースの泡に成り果てる。
泡は多ければ多いほど良い。泡が最大に膨れ上がったときこそその時だ。

・ヨグ=ソトースの召喚について
呪文は僕自身が人口密集地で間違いなく遂行する必要がある。
万一、ほんのささいなものでも邪魔が入ればなにもかもが失敗に終わる。
一音も間違わないように訓練するとともに、決行する場所の選定も始めなければ。

・決行する場所について
駅の利用者数だけで決定すれば新宿駅か池袋駅がいいが、一箇所に人が集まる場所ではない。
何千もの人間が一挙に押し寄せるような場所がふさわしい。とすれば…。

以上から<アイデア>成功で、依田は渋谷駅前ハチ公像〜スクランブル交差点周辺で儀式を実行すると推測される。(成功するまで振り直して良い。回以上挑戦で感染ポイント10

■決戦
(依田の儀式を阻むには、何か些細な妨害で十分である。これはプレイヤーのアイデアに任せたい。KPが適切と判断した場合、依田の儀式は妨害できる。)

依田はスクランブル交差点の近くの物陰に潜んでいる。<目星>成功で発見可能。(成功するまで振り直し可能。回以上挑戦で感染ポイント10
プレイヤーが決めた方法で妨害を試みると、依田は焦ったように何か(呪文)を口走る。

・依田の召喚ロール
1d100 で「これまでの感染ポイントの合計÷以下の数値」で召喚は完全に成功する
Aエンドへ
1d100 の召喚ロールに失敗した場合、召喚は不完全に行われる
Bエンドへ

Aエンド
依田は恍惚の表情で天を見上げる。
空が裂けている。
裂けた空からは無数に玉虫色の球体が溢れている。
もう何もかもが手遅れである。
ロストエンドのためSANCは省略(行っても良い)

Bエンド
依田は焦った表情で天を見上げる。
空に亀裂が走っている。
亀裂からは玉虫色の流体が漏れ出てくる。
SANC 1d6/1d20
玉虫色の流体は依田めがけて触腕を伸ばすように襲いかかる。
依田は恐怖の表情を浮かべるよりも早く触腕によって空の亀裂へ連れ去られる。

生存エンド。以下に加えてキーパーの裁量で回復、成長を行う。
SAN回復1d10

- end -

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