CoC超初心者向けクローズドシナリオ「あぶくたった」
<はじめに>
このシナリオは、初めてCoCをプレイするプレイヤーに向けたお手軽シナリオである。
初心者でも音声セッションで2、3時間もあればクリア可能である。
各参加者は事前に以下の動画を参照すると良い。
あぶくたった【歌付き】童謡・手遊び歌 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6QICdEwD5GE
KPは事前に<隠れる><忍歩き>などの隠密行動技能が有効であることを各プレイヤーに知らせるべきである。
(対熟練者なら、知らせないことで難易度調整ができるかもしれない。)
戦闘技能は推奨しないのが吉。
複数探索者が参加する場合は同居人とするのが良い。
<背景>
季節は秋。探索者は隣人でキノコ狩りが趣味の大戸成仁(おおとなりひと)から山で採ってきたというキノコをお裾分けされる。大戸曰くタマゴタケというキノコだということで(タマゴタケ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%82%BF%E3%82%B1 備考:見た目に反して淡白な味わい。とても美味しい。筆者は外殻から傘が頭を出したくらいの頃が一番好き。ホイル焼きがおすすめ)探索者たちは秋の味覚を夕食として存分に味わうことになるが、実はこれは大戸がタマゴタケの群生と見間違えたミ=ゴの死骸の一部だった。
死骸の仲間のミ=ゴは同胞を取り戻すべく、深夜、探索者の家の戸を叩く。
探索者の目的はそれからの逃走である。
<導入>
秋。それは万物が美味しくなる季節。
その恩恵は探索者の元にも訪れた。
ピンポーン
インターホンが鳴って探索者は玄関へ向かう。
扉を開けるとそこには探索者がよく見知った隣人の大戸成仁が人のいい笑顔を浮かべて立っていた。
少し前に仕事を定年退職し、この季節はキノコ狩りが楽しみだと語っていた気がする。
見ると、腕には大きな紙袋を抱えている。
「いやぁ、ビギナーズラックってやつかなあ、すごい豊作でね」
と大戸は機嫌よく話す。
「うちじゃ食べきれないほどあったからこりゃお隣さんにいいやと思ってね、はい、お裾分け」
と紙袋を手渡される。
中をちらりと覗くと極彩色の、見たこともないような大きなキノコがぎゅうぎゅうに詰まっている。本当に食べられるのだろうか。
探索者の表情から疑問を察した大戸は朗らかに笑いながら、
「すごい見た目だろう。でもね、食べられるのは間違いないんだよ。おいしいキノコとして有名なんだ」
と説明してくれる。(プレイヤーがなおも躊躇するならKPはwikipediaのタマゴタケのページを見せるのもよい)
「ホイル焼きが美味しいよ。傷まないうちに食べてみてね」
と言い残して大戸は去っていく。
腕に抱えた紙袋からはほのかに山菜に特有のみずみずしい草や土の香りがした。
(KP情報:タマゴタケは本来無臭である)
<にえたった>
探索者は早速夕食にタマゴタケをホイル焼きにして食べてみることにした。
(食べたがらない場合、<アイデア>で、「人懐こい大戸は翌朝のゴミ収集の時にでも食べた感想を求めてくるだろう。トンチンカンな嘘をつくのは非常によくない」と誘導するとよい。それでも嫌がるならいっそ大戸がホイル焼きを持って訪ねてくるのもよい)
実際に調理してみると意外にもバターとの相性がいいようで、キッチンには香ばしい良い香りが漂う。存外悪くないかもしれない。
夕食に出してホイル焼きを食べてみると、強い旨味があり、バターや醤油との相性が抜群で非常に美味である。後日残りをオムレツにしても良いかもしれない。
(参考:タマゴタケのホイル焼き by Takamaron [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが271万品 https://cookpad.com/recipe/2739784)
意外な自然の恵みに感謝しながら探索者は床につく。明日大戸に会ったらお礼を言わなければ。
<なんの音?>
深夜、カタカタという音で探索者は目を覚ます。
こんな時間に来客だろうか?
訝しんでいるうちに音は次第に大きくなり、ドンドンと荒々しい音になっていった。
探索者がドアホンや扉の隙間などから外をうかがうと、そこには大人ほどの大きさのグロテスクな色をした節足動物に似た異形の姿があった。SANC1/1d6
そして探索者の目にはその生物の頭部と思われる部位に大量に、イボのように突き出た赤い塊がいくつも目に入る。
あれは………タマゴタケ!?タマゴタケじゃないか!探索者は自分が夕食にしたホイル焼きのことを思い出して吐き気を覚える。
自分が食べてしまったものの正体を察した探索者はSANC0/1。
異形の生物はその硬い前腕の鋏で玄関ドアを破壊する勢いで攻撃している。
ここでプレイヤーが判断に困るようであれば<アイデア>で「逃げなければ!」と誘導する。
隠密系技能に成功すれば無事逃走、失敗すればミ=ゴとの戦闘になる。ミ=ゴのデータはルールブック参照。多少手心を加えても良い。
<エンド集>
・A
探索者は辛くも異形の生物から逃げることができた。
翌朝、あれは夢だったのかと自宅の玄関前を見ると、ズタズタに引き裂かれ、破られる寸前のドアが、あれは夢ではないと告げている。
そして数日後。近所では大戸夫妻失踪事件の噂で持ちきりとなる。
・B
探索者は異形の怪物から逃れることができなかった。
玄関扉を引き裂いて現れた怪物の姿に、あなたは死を悟り、硬く目を閉じる。
一瞬の意識の喪失ののち、あなたは意識を取り戻す。
暗くて狭い部屋の中………?あたりはなにも見えない。
あなたは自分の体が傷ついていないか確かめるために体をさすろうとする。
しかしできない。
なぜだ?なぜだ!せまい、くらい、こわい、ここはどこだ、あれからどうなったんだ!!!!
その時のあなたは理解できないかもしれない。永遠に理解することはないかもしれない。
しかしその方が幸せだ。
あなたは今、脳と神経の束のみの姿になって、さまざまな機器が接続され、不明な液体で満たされたカプセルの中に浮かんでいる。
あなたは死すら許されない状態で、常に異形の生物たちによって観察されている。
- end -
※ご質問はコメントにてよろしくお願いいたします。
このシナリオは、初めてCoCをプレイするプレイヤーに向けたお手軽シナリオである。
初心者でも音声セッションで2、3時間もあればクリア可能である。
各参加者は事前に以下の動画を参照すると良い。
あぶくたった【歌付き】童謡・手遊び歌 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6QICdEwD5GE
KPは事前に<隠れる><忍歩き>などの隠密行動技能が有効であることを各プレイヤーに知らせるべきである。
(対熟練者なら、知らせないことで難易度調整ができるかもしれない。)
戦闘技能は推奨しないのが吉。
複数探索者が参加する場合は同居人とするのが良い。
<背景>
季節は秋。探索者は隣人でキノコ狩りが趣味の大戸成仁(おおとなりひと)から山で採ってきたというキノコをお裾分けされる。大戸曰くタマゴタケというキノコだということで(タマゴタケ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%82%BF%E3%82%B1 備考:見た目に反して淡白な味わい。とても美味しい。筆者は外殻から傘が頭を出したくらいの頃が一番好き。ホイル焼きがおすすめ)探索者たちは秋の味覚を夕食として存分に味わうことになるが、実はこれは大戸がタマゴタケの群生と見間違えたミ=ゴの死骸の一部だった。
死骸の仲間のミ=ゴは同胞を取り戻すべく、深夜、探索者の家の戸を叩く。
探索者の目的はそれからの逃走である。
<導入>
秋。それは万物が美味しくなる季節。
その恩恵は探索者の元にも訪れた。
ピンポーン
インターホンが鳴って探索者は玄関へ向かう。
扉を開けるとそこには探索者がよく見知った隣人の大戸成仁が人のいい笑顔を浮かべて立っていた。
少し前に仕事を定年退職し、この季節はキノコ狩りが楽しみだと語っていた気がする。
見ると、腕には大きな紙袋を抱えている。
「いやぁ、ビギナーズラックってやつかなあ、すごい豊作でね」
と大戸は機嫌よく話す。
「うちじゃ食べきれないほどあったからこりゃお隣さんにいいやと思ってね、はい、お裾分け」
と紙袋を手渡される。
中をちらりと覗くと極彩色の、見たこともないような大きなキノコがぎゅうぎゅうに詰まっている。本当に食べられるのだろうか。
探索者の表情から疑問を察した大戸は朗らかに笑いながら、
「すごい見た目だろう。でもね、食べられるのは間違いないんだよ。おいしいキノコとして有名なんだ」
と説明してくれる。(プレイヤーがなおも躊躇するならKPはwikipediaのタマゴタケのページを見せるのもよい)
「ホイル焼きが美味しいよ。傷まないうちに食べてみてね」
と言い残して大戸は去っていく。
腕に抱えた紙袋からはほのかに山菜に特有のみずみずしい草や土の香りがした。
(KP情報:タマゴタケは本来無臭である)
<にえたった>
探索者は早速夕食にタマゴタケをホイル焼きにして食べてみることにした。
(食べたがらない場合、<アイデア>で、「人懐こい大戸は翌朝のゴミ収集の時にでも食べた感想を求めてくるだろう。トンチンカンな嘘をつくのは非常によくない」と誘導するとよい。それでも嫌がるならいっそ大戸がホイル焼きを持って訪ねてくるのもよい)
実際に調理してみると意外にもバターとの相性がいいようで、キッチンには香ばしい良い香りが漂う。存外悪くないかもしれない。
夕食に出してホイル焼きを食べてみると、強い旨味があり、バターや醤油との相性が抜群で非常に美味である。後日残りをオムレツにしても良いかもしれない。
(参考:タマゴタケのホイル焼き by Takamaron [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが271万品 https://cookpad.com/recipe/2739784)
意外な自然の恵みに感謝しながら探索者は床につく。明日大戸に会ったらお礼を言わなければ。
<なんの音?>
深夜、カタカタという音で探索者は目を覚ます。
こんな時間に来客だろうか?
訝しんでいるうちに音は次第に大きくなり、ドンドンと荒々しい音になっていった。
探索者がドアホンや扉の隙間などから外をうかがうと、そこには大人ほどの大きさのグロテスクな色をした節足動物に似た異形の姿があった。SANC1/1d6
そして探索者の目にはその生物の頭部と思われる部位に大量に、イボのように突き出た赤い塊がいくつも目に入る。
あれは………タマゴタケ!?タマゴタケじゃないか!探索者は自分が夕食にしたホイル焼きのことを思い出して吐き気を覚える。
自分が食べてしまったものの正体を察した探索者はSANC0/1。
異形の生物はその硬い前腕の鋏で玄関ドアを破壊する勢いで攻撃している。
ここでプレイヤーが判断に困るようであれば<アイデア>で「逃げなければ!」と誘導する。
隠密系技能に成功すれば無事逃走、失敗すればミ=ゴとの戦闘になる。ミ=ゴのデータはルールブック参照。多少手心を加えても良い。
<エンド集>
・A
探索者は辛くも異形の生物から逃げることができた。
翌朝、あれは夢だったのかと自宅の玄関前を見ると、ズタズタに引き裂かれ、破られる寸前のドアが、あれは夢ではないと告げている。
そして数日後。近所では大戸夫妻失踪事件の噂で持ちきりとなる。
・B
探索者は異形の怪物から逃れることができなかった。
玄関扉を引き裂いて現れた怪物の姿に、あなたは死を悟り、硬く目を閉じる。
一瞬の意識の喪失ののち、あなたは意識を取り戻す。
暗くて狭い部屋の中………?あたりはなにも見えない。
あなたは自分の体が傷ついていないか確かめるために体をさすろうとする。
しかしできない。
なぜだ?なぜだ!せまい、くらい、こわい、ここはどこだ、あれからどうなったんだ!!!!
その時のあなたは理解できないかもしれない。永遠に理解することはないかもしれない。
しかしその方が幸せだ。
あなたは今、脳と神経の束のみの姿になって、さまざまな機器が接続され、不明な液体で満たされたカプセルの中に浮かんでいる。
あなたは死すら許されない状態で、常に異形の生物たちによって観察されている。
- end -
※ご質問はコメントにてよろしくお願いいたします。
コメント
コメントを投稿