CoC現代学生探索者専用シナリオ「四畳半の籠城犯」
<はじめに>
このシナリオは現代日本を舞台とする学生探索者用シナリオです。基本ルールブックに加え、現代サプリの使用を推奨します。
シナリオ内には即死トラップも存在しますので、継続使用したいPCの参加はあまり推奨しません。
戦闘は想定しておらず、取得技能は調査・探索系が望ましいです。
探索者の年齢は中学生〜高校生程度が望ましいですが、その他の年代の探索者も可とします。
<シナリオの背景>
このシナリオをプレイするすべてのPCは現在引きこもり状態にあり、外からのすべての刺激を敵対的に感じます(神話生物による事件は想定していませんが、ニャルラトホテプのせいにしても良いかもしれません)。
上記の影響から、例えばドアをノックする音は、何か大きくて恐ろしい生き物が扉を破ろうとする音に、外からの呼びかけは恐ろしい猛獣の息遣いまたは獲物を誘い出すためのなりすましであるように知覚されます。
これらの障害を突破し、扉の外へ出て行くことができればシナリオクリアです。
なお、プレイヤーの自室は二階建て家屋の二階にあり、窓があります。そのほかにも、学生の部屋にありそうなものは揃っているものとします。
■プロローグ
夏休みが終了して数日が経過したある日、プレイヤーはそれぞれ自室で目を覚ます。
気だるい夏の残滓が満ちた部屋の中、プレイヤーはそれぞれ行動を起こし、結果、部屋の扉がどうしても開かないことに気づく。それ以外には特に室内の変化は見られない。
プレイヤーが探索を続けていると、窓の方から何か物音が聞こえる。
<聞き耳>判定
判定成功で、それは何か硬く鋭いもので窓がこすられる音であることがわかる。この時プレイヤーが窓の外に注目しても何もない。
プレイヤーが次の行動を起こすと、今度は扉の向こうから、何かの足音が聞こえる。それは階下からプレイヤーの自室の前まで移動する。
プレイヤーが音に集中していると、扉の前の存在の、巨体をもつ肉食獣のような息遣いが聞こえる。
<聞き耳>成功で、扉の前の存在が小声でなにかつぶやいているのが聞こえます。
それはプレイヤーの嫌悪を掻き立てるに十分な声で、以下のように聞こえます。
「テケリ・リ…テケリ・リ…」
→SANC 0/1
メタ的な観点から、プレイヤーは扉=恐怖と認識し、それには近づかないかもしれない。
■合流
プレイヤーがPCやスマートホンなどのインターネットを使用するコミュニケーションツールの使用を希望する場合、それらは起動すると同時に見慣れないチャットアプリが起動している。
プレイヤー同士はチャットを通じて会話を行えるようになる。
情報交換後、プレイヤーたちはそれぞれ同じような状況に置かれていると理解する。
■変質
プレイヤーは<幸運>判定成功で自室に見慣れないものが紛れているのに気づく。
それは、他プレイヤーが自室においている持ち物である。
また、部屋の中の輪郭がぼやけ、部屋自体もわずかに大きさが変わり、やや広くなったり狭くなったりしているように感じる。→SANC 1/1d2
プレイヤーは、お互いの部屋が混ざり始めている、と認識する。
■記憶と外の異変
探索中、任意のタイミングで、プレイヤーたちはここ数日の記憶が欠落していることに気づく。
さらに、部屋の扉が外から叩かれはじめた。非常に強く、叩き破って室内に入ろうとしているかのようだ。また、声も大きくなり始めている。
■メッセージ
探索中、任意のタイミングで探索者は見知らぬノートを数冊発見する。内容は以下の通り。
・少女の日記
9月⚪︎日、晴れ
今日もお医者さんはお外に出るのを許してくれない。
病院のすぐ近くは学校で、毎朝、みんなの楽しそうな声が聞こえて来る。
それなのに私は病院の外どころか、この部屋のドアの先にも行くことができない。
私がもっと元気でいい子なら、きっと外に出してもらえただろうに。
出られるものなら今すぐに、この部屋から外に出るのに。
・大学ノート
あいつらは俺がこの部屋から出てくるのを待っている。
しかし、出て行ったら奴らの思うツボだ。俺は絶対に出ない。
最初からあいつらは友好的とは言えなかった。もっと警戒するべきだった。もう取り返しがつかない。
俺にできるのは、ここにいて、弱っていく自分を眺め続けるだけだ。
あいつにやられるのが先か、俺がここでくたばるのが先か。
■決断の時
<聞き耳>判定。成功者は扉から以下のような、親しい人か家族の声を耳にする。
「つらかったらどこにも行かなくていいから、お願いだから出ておいで。」
「今日はもう少し待つから、気が向いたらでいいから、出てきてほしい。」
キーパーは情報をすべてプレイヤーに伝えた後、任意のタイミングで、以下をプレイヤーへ宣言する。
・ドアはもうもちそうにないこと
・重要な判断をしなければならないこと
以上を伝えた上でプレイヤーは次の3つの選択肢を提示する。
・扉にむかう
・窓を破って外にでる
・何もせず、そのまま
■扉へ
探索者が扉に手をかけると、途端に今まで自分を脅かしていた物音や気配がなくなる。
扉を開くと、よく見知った人か家族に迎えられる。彼らの表情は安堵と心配がないまぜになっている。彼らは帰還した探索者に、
「今まで辛かったね、よく頑張ったね。」
と声をかける。
探索者はふと自分の姿を見てみると、髪はボサボサに乱れ、衣服には汚れがあり、入浴していなかったらしい体はベタついている。
そして探索者は、自分が夏休み以降自室に引きこもり、不登校となっていたことを思い出す。
end1 happy end
■窓へ
窓を破り、部屋を飛び出したあなたは、翌日の地方ニュースで話題となっている。
「夏休み以降、自室に引きこもり続けた彼(彼女)はなぜ自殺という結末を選んでしまったのでしょうか……。」
あなたは今、意識不明の重体である。
end2 dead end?
■何もしない
あなたはまた自室で目を覚ます。
久しく入浴していないためベタつく体、乱れ放題の髪、何日も着替えていない衣類。そして母や家族が差し入れてくれた食事の残骸。
あなたはこの部屋から出られない。
not to the end
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